小説 SUMMER RAIN

夏の雨は時に優しく、時に無情・・・

好きなもの 昭和

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最近、TVで「昭和歌謡ポップス」が取り上げられる機会がありますが、昭和生まれとしては、ただただ懐かしく思って見ています。

TVやラジオで流れ、喫茶店等で有線放送に公衆電話からリクエストしていた流行歌は、当時、国民の共通の歌でした。

それが次第に廃れていったのは、時代が“WE(私たち)”から“I(私)”に変化していったからで、個人の時代が到来した結果だと思います。

 

【昭和】を美化する向きもありますが、当時、今では考えられないようなパワハラ、セクハラが横行し、女性はいくら遅くても30歳までに結婚しないと陰口を言われた時代。

大半の女性は結婚すると専業主婦となり、良妻賢母が求められました。

離婚したくても周りが許さず、仮にできたとしても職がなく苦しんだ時代。

 

歴史を振り返ると、人間の進歩はそうたやすくないように感じますが、それでも、各々がそれなりの権利を勝ち取りながら時代が流れ、今があるわけで、そういう意味でも諸先輩たちには感謝するばかりです。

今も結局、人間の歴史の過程であり、もし、今が望んだ環境でないとしたら、修正しながら進むしかないんだろうと思います。

 

いろいろ複雑な思いがありながらも【昭和】が好きなのは、当時を生きたから、だけでなく、「出来の悪い子供は可愛い」という思いが強いように思います。

好きなもの 映画

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これまでで最も心に残っている映画を1本あげるとしたら、

 

スティーヴン・スピルバーグの『激突!』。

 

リチャード・マシスンの短編小説を映像化した、1971年製作のアメリカのTV映画ですが、初めてTVの洋画劇場で見た時のことは忘れられない記憶となっています。

大型トレーラータンクローリーを追い越した事がきっかけで、トレーラーの運転手に命を狙われるハメになるというシンプルな話ながら、スピルバーグ監督はその心理描写をうまく描いています。

 

1970年代以降の映画界の繁栄は彼の功績が大きいわけですが、

なかでも『レイダース 失われたアーク』はあまりの感動に、2度映画館に足を運びました。私が同じ映画を見るために映画館に2度訪れたのは、この作品とキアヌ・リーヴス主演の『コンスタンティン』くらい。

 

現在、さまざまな技術が飛躍的に向上しましたが、やはり1970年代の頃のような感動はもう味わえないと思っています。

好きなもの 秋のジャズ

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聴き慣れないと、なかなか手を出そうと思わない感じのジャズですが、そのなかで唯一、耳障りの良いアルバムがナタリー・コールの『アンフォゲッタブル』。

1991年に発表したこのアルバムは、グラミー賞の最優秀アルバム賞を受賞しています。

 

ナタリーはかのナット・キング・コールの娘で、このアルバムは父のカバー集なのですが、アルバムタイトルでもある「アンフォゲッタブル」では亡き父が歌った音源とのオーバーダブによる「共演」を果たしていて感動します。

 

もちろんナット・キング・コールの歌声が最高なのですが、聞き流すなら断然ナタリー。

 

秋の夜長に、コーヒーを飲みながらまったりするのが最高です。

好きなもの 三国志

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三国志」と言えば、最近だと映画『レッドクリフ』が有名ですが、本場中国より、日本での人気の方が高い話かもしれません。

個人的にも、「歴史上で最も好きな人物は?」と聞かれたら、「諸葛孔明」と答えますし、

「もしタイムスリップできたら誰に会いたい?」と聞かれても同じ答えです。

軍師としてだけでなく、「諸葛菜」という野菜や様々な発明をした天才というのも心惹かれる理由のひとつ。

 

この「三国志」で最もお気に入りなのが、1982年~1984年にNHKで放送された『人形劇 三国志』。人形美術家の川本喜八郎さんの人形、演者、声優、すべてが素晴らしく、進行役の島田紳助さんと松本竜介さんの掛け合いも良かった。特にこのおふたりの人形も笑えるくらいそっくりだし、とても良い味を出していました。

 

小説では、酒見賢一さんの『泣き虫弱虫諸葛孔明』。

抱腹絶倒の内容で、以前、とにかく面白く読ませて頂きました。

 

中国の歴史のほんの一部が2000年近く経っても語り継がれているわけですが、それなりの理由があるのだと思います。

好きなもの TVドラマ

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子供時代に大人と一緒に過ごす時間が長かったこともあって、

国内のものより海外ドラマをよく見ました。

今ではトム・クルーズの代表作『ミッションインポッシブル』の元である『スパイ大作戦』や、『チャーリーズ・エンジェル』。当時、『チャーリーズ・エンジェル』は深夜に放送されていたので、まだ小学生だった私は親に隠れてこっそり見ていたのですが、TVの明かりが漏れて気づかれると「寝なさい!」と電源OFF。ワクワクしながら番組を見ていたので見つかった時はガッカリでした…。

 

ジャンルにはあまりこだわりがなく、時代劇からSFまで何でも受け入れるタイプですが、今までで最も好きなのは、アメリカTVドラマの『ロンサム・ダブ』。

西部劇ですが、主役のロバート・デュヴァルと、今や日本のCMでもお馴染みのトミー・リー・ジョーンズの演技が素晴らしく、ダイアン・レインの演技ではいつも泣いてしまいます。

 

当時、NHKで放送されたのですが、しばらくしてDVDを購入しようとしたら、

日本では売っておらず、仕方なく英語版を購入。しかし!今では日本でも購入できるようになっているみたいなので改めて購入予定です。

 

最近は中国ドラマもクオリティが高くなって楽しめます。NHKの『コウラン伝』は毎週楽しみにしているドラマのひとつです。

 

 

好きなもの 本

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久々の投稿となります。

個人的に好きなもの…本や映画、音楽等について書いてみようと思います。

 

今回は本について。

若い頃は時代も時代で、とにかく退廃的なものがお洒落で格好いいと思っていた節があります。

なので、サガンサリンジャーカミュ、国内だと初期の村上春樹さんをよく読みました。

その少し後、パトリシア・ハイスミスにハマりました。

彼女の『見知らぬ乗客』はアルフレッド・ヒッチコックが映画化し、『太陽がいっぱい』はアラン・ドロンを世界的スターにした作品ですが、

私が偶然、手にした彼女の初めての本は『贋作』でした。

期待せずに読んで、とても面白かったので、それから彼女の作品を結構読みました。

最も好きな作品は『ふくろうの叫び』です。

 

最後にちゃんと読んだ小説は、伊坂幸太郎さんの『死神の精度』あたりだったか…。

というのも、視力が悪くなったせいで、読書がままならなくなったからなのですが、最近は肩の凝らない、気軽に読める本を手にするようになっていました。

が、好きだった『ふくろうの叫び』が再び手に入りそうなので、頑張って読んでみようと思ってます。

読み物は映像と違ってその人の想像力を掻き立てるので好きなのですが、そういう意味ではラジオドラマもまた面白いです。

次回は、TVドラマについて書いてみようと思っています。

 

第4章 夢のかけら 〈6〉

 頂上は目前だった。横殴りの暴風雨が一段と激しさを増し、2人の乗っている車も吹き飛ばしてしまいそうな勢いだった。

「あれは事故だったんだ…」後部座席に釘付けになっているマスターに、彼は声を戦慄かせて言った。「雨のせいだ。決して酔ってたわけじゃない、酔ってなんかいなかったんだ。学生たちと一緒に少しだけ呑んで、そして、俺は家に帰ったんだ。それからハンドルをこういう風に…」

 突然、彼はハンドルを崖めがけて切ろうとした。

「やめろ!」マスターは叫びながら必死で制し、ハンドルを奪い取った。「車を止めるんだ」

 彼はその声に怯んだように車を止めた。そこは既に頂上だった。

「美代子! 美代子!」と彼は喘いだ。興奮して苦しそうに肩で息をしている。

 自分の不注意による事故で、それも自分の娘を殺してしまったのである。マスターは彼の心中を察した。錯乱状態になるのも無理はないとも思った。しかし、常軌を逸したこの彼の行動は理解に苦しむ。どうしてすぐに病院に連れていかなかったのか、いや、きっと彼はそんなことを思いつきもしなかったに違いない。

 マスターは頭をフル回転させ、まずこの場を凌ぐことを考えた。「事故だったんだ。おまえのせいじゃない」

 束の間、彼は怯えた目でマスターの方を窺うように見た。

「わかってるよ。どうしようもなかったんだろ?」マスターは構わず続けた。

「俺のこと、狂ってると思ってんだろ?」と彼は前を向いたまま言った。

「何、馬鹿なこと言ってるんだ。俺がおまえの立場だったとしても、やっぱり同じだったと思うよ」

 すると俄かに彼は啜り泣き始めた。「ずっと友達でいてくれるか?」

「当たり前じゃないか」マスターは彼の肩をポンと軽く叩いた。「何も変わらないよ。だから引き返そう。俺がついてるじゃないか」

 マスターの力強い言葉にますます彼は顔を歪め、涙声で言った。「ハ、ハハハ、良かった。嬉しいよ。マスターならきっとそう言ってくれると思ってたんだ。俺の話、信じてくれるだろ? 俺が見た時、駐車場には誰もいなかったんだ。まさか、あんなところで俺の帰りを待ってるなんて…」

「ああ、信じるよ。この世の中、予測不能なことばかりさ。でも、だからってヤケになってどうするんだ。一刻も早く、美代子ちゃんを病院へ連れていかなくちゃ」

「病院…」と彼は呟いた。そしていくらか落ち着きを取り戻したように言った。「そうだな」

 マスターはその様子を見てほっと胸を撫で下ろした。

 それから彼は引き返すことに同意し、再び車を動かし始めた。「俺、キャプテンと友達で、本当に良かっ…」

 その時、突然一筋の光が走ったかと思うと、凄まじい轟音が耳をつんざき、稲妻が車の中を一瞬にして駆け抜けていった。車はそのまま真っ直ぐガードレールめがけて突っ込んでいった。コマ送りのようなスカイダイビングを繰り広げた後、荒れ狂っていた波は儚く砕け、彼らの乗った車はゆっくりと、呑み込まれるように、広大な海の中へ消えていった…。

 

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 ショットバー『S&M』の時計は、午前一時三十七分で止まっていた。マスターの〈夢のかけら〉は乗客や乗組員、そして船長さえも失い、座礁した船は時間の経過と共に錆れ、荒んでいくだけとなった。

 

                                  〈終〉

第4章 夢のかけら 〈5〉

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 いよいよ頂上に近づいていた。マスターは彼の方を向いてはいたものの、見通しの悪い前方からも目を離せずにいた。外はもう嵐で、木々は怒り狂ったように踊り続け、激しく車に打ちつける雨や風の音が彼のハスキーな声をかき消していく。

「全然気がつかなかったんだよな。まさか、あんなところにいるなんて…。なあ、そうだろ? そうだよな、雨で視界が悪かったもんな」

「おまえ、誰に言ってるんだ?」恐怖で喉がカラカラに乾き、マスターの声は嗄れていた。

 彼はそれまでの沈んだ様子から一変して、今度は狂気じみた高笑いを始めた。

「ほら、笑ってるじゃないか。聞こえるだろ?」

 マスターのからだに戦慄が走った。

「話してやれよ! キャプテンが聞きたいんだってさ」と彼は続けた。

「頼むからしっかりしてくれよ! いったい何の話なんだ?」

「後ろで笑ってるのが聞こえないのか?」彼はそう言うと左の口端だけ持ち上げて少し笑い、顎で後部座席を指し示した。

 マスターは弾かれたように後ろを振り向いた。それまで気づかずにいたが、白っぽい毛布が何かに掛けてある。恐る恐る触った。毛布は水浸しだった。思い切って剥ぎ取ると、小さな女の子が横たわっていた。

 

                                  〈続〉